本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『ピーター・パン』

『ピーター・パン』(ジェームズ・バリー)を読みました。訳者は本多顕彰さんです。

僕は読書でもカウンターバランスをとる必要があると考えています。『毛皮を着たヴィーナス』や『ソドム百二十日』などを読む傍ら、こういったもう一方の端にあるような本も読んでいきたいと思うのです。バランスをとらないでいると、とても危ない人のように思われることもあろうし。

閑話休題。本書はあのディズニー映画『ピーター・パン』とは違います。ピーター・パンは当然出てきますが、ウェンディーもティンカーベルもフック船長も出てはきません。全く別のお話です。登場するのはウェンディーではなくメイミーという女の子で、彼女の役割は「母」ではなく「恋人」のようです。

ロンドンにあるケンジントン公園は夜になって人がいなくなると、昼とは別の顔を見せる。公園内を妖精や小人が闊歩しますし、公園の中にある蛇型池に浮かぶ島では人間の子どもとなる鳥が生まれます。ピーター・パンは生まれて7日目に鳥であるときのことを思い出し、島に戻ってきてしまいます。そのために彼は鳥でもなく人間でもない中途半端ものになってしまったのです。一度は母のことを思い出し、家に帰ろうとするのですが…。


あらすじがあらすじになっていないという、困った状況。基本的には中途半端もののピーター・パンをめぐるエピソードの紹介という形が取られています。また、大人が子どもに語るような書き方をされているので、文体に慣れるまでに時間がかかりました。しかし視点はあくまで子どもの目線であり、そこかしこにあるちょっとした疑問を上手く解釈して見せています。そうした無邪気さの端々に世間の厳しさのようなものが挿入されており、いろいろな側面を見せてくれる作品です。

何ら伏線なくあらたな単語が出てくるのはいかんともしがたいところですが、最後まで読めばとりあえず情報はそろっています。2回読んだらとてもよく分かる作品でしょう。もっとも、僕は読んでいませんが。

ちなみに姉妹編として『ピーターとウェンディ』という姉妹編があるそうで、レビューを観るとこちらの作品がかのアニメ映画の原作のようです。
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by nino84 | 2006-01-12 10:24 | 読書メモ