本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『黒猫・モルグ街の殺人 他五篇』

『黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇』(エドガー・ポォ)読みました。翻訳は中野好夫さんです。

本のタイトルが微妙なのは、これが(おそらく翻訳者によって)編纂されたものだからです。
収録されている作品は、『黒猫』、『ウィリアム・ウィルソン』、『裏切る心臓』、『天邪鬼』、『モルグ街の殺人事件』、『マリ・ロジェエの迷宮事件』、『盗まれた手紙』(収録順)の7作です。

短編のレビューは、『GOTH』(乙一)で失敗したので、あまり書きたくはないのですが、そういう習慣になってきてしまっているので、前回の反省を生かしつつ書いていきたいと思います。


『黒猫』、『ウィリアム・ウィルソン』、『裏切る心臓』
この3作は、ホラーとして読めると思います。短編であるが故に、脱線は全くなく、クライマックスにすべてが集約されています。そのため、自然、終盤になるにしたがって、緊張感が高まっていくことになり、筋も分かりやすく、面白く読める作品群だと思います。

読む機会があれば、1作一気に読んでしまうことをおすすめします。
むしろ、この3作品に限らず、短編は一気に読むべきだと思ってるのですが、それはそれ。


『天邪鬼』
タイトルがすべてを表している作品です。「危ないと分かっていながら、危険なところに行ってみたい」というような、人の持つ天邪鬼な部分を分析した上で、その事例を挙げるという作品です。

事例の部分に関しては、上記の3作のようなものであるため、読みやすくて良いのですが、分析の占める割合が多いために、すこし取っつきにくい作品のような気がします。


以下の3作は「デュパンもの」とよばれている(らしい)、探偵小説です。

『モルグ街の殺人事件』
デュパン最初の事件。モルグ街で起きたある母子の殺人事件を彼が推理するという作品です。ちなみに、基本は密室という舞台をどのように崩していくかという、いわゆる王道といって差し支えない作品です。
ただ、犯人に関しては賛否両論あるような気がしますが…。

それにしても、この作品は読者を選ぶような気がします。前述の4作のような筆致で探偵を描くので、他の探偵小説に比べて理屈が先行しすぎるように感じるからです。


『マリ・ロジェエの迷宮事件』
『モルグ街の殺人事件』の続編です。デュパン第2の事件ということで、探偵小説のハズなのですが、なぜかそんな感じがしません。
話の冒頭から、ある現実にあった事件のことを下に敷いたというのが全面に出されています。そして、その現実の事件でのマスコミの反応等に反感を持ったのか、作中で新聞各紙の記事を痛烈に批判していきます。そのため、他の作品に比べて粗い感じを受けます。

あくまで個人の感想ですが、探偵小説としては文章の整理が悪いので、釈然としない感じが残りました。探偵小説と言うよりも、マスコミ論として読んでみたらどうでしょうか?個人的には、そうして読んだら納得できる作品だと思います。


『盗まれた手紙』
デュパン第3の事件です。とはいえ、前2作と異なり人が死ぬわけではないので、大変軽く読めると思います。ただ、今作でもデュパンが理屈っぽいのは変わりません。それでも、明るい感じに仕上がっているため、探偵小説としては、大変読みやすい者となっているのではないでしょうか。

とはいえ、一番の問題は、クレビヨンという人物も知らなければ、『アトレ』という作品も知らないために、オチが理解できないことにありましたが。
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by nino84 | 2005-09-24 10:37 | 読書メモ