本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『カモメのジョナサン』

『かもめのジョナサン』(リチャード・バック, 1970)を読みました。翻訳は五木寛之さんです。

なんかアメリカっぽい作品だなと思ったら、やっぱりアメリカの作品でした。アメリカの作品って、ヨーロッパの作品とは毛色が違いますよね。なんとなく。いや、そう感じるのは僕だけかもしれませんが…。


あるところに一羽のカモメ、ジョナサンがいました。
他のカモメは、食物を得るために飛びます。しかし、彼は飛ぶこと自体を目的として、ただ速く、ただ高く、ただ技巧的に飛ぶことを目的として飛ぶのです。彼は、食べることも忘れて、飛びつつけていました。しかし、そうした彼の行動は群れの中で孤立する原因となり、彼は群れを追放されます。
それでも飛ぶことにこだわりを持つ彼は、飛び続け…。

というのが、だいたいのあらすじです。


本作は、「われらすべての心に棲むかもめのジョナサンに」という序文から始まります。まぁ、素直にカモメを人に還元して読んでいくべきなのでしょう。

「ただ生きることは容易い。しかし、その中で何か目標を見つけ、それを極めることは難しい。でもそれを見つければ、何となくハッピー。」って感じで終われば良かったんじゃないの?

すいません、正直、part three(=最終章)が意味不明です。part threeでは、目標を見つけ、それを(他のカモメに比べれば)極めたといえるジョナサンが、他のカモメを教化しようと努めます。やれることに限界はなく、ただ無限であるらしい。従って、能力は比較論で示されます。漠然と、納得しそうですが、無限って何だ?僕には最後までそこがよく分からなかったんですが。

「それは当然だ、憎しみや悪意を愛せないのはな。きみはみずからをきたえ、そしてカモメの本来の姿、つまりそれぞれの中にある良いものを発見するように努めなくちゃならん。彼らが自分自身を見いだす手助けをするのだ。愛とはそういうことなんだ。…」
ジョナサンが、その弟子となった一羽のカモメに対して言った言葉です。なんかずいぶん話が広がっております。かなり悟りを開いた感じです。愛とか、無限とか漠然としすぎて、僕には分かりかねます。

自分だけが目標を見つけ、それを目指せたらハッピー、では終わりません。自分が幸福になるのではなく、他の人にもその幸福を分け与えましょう、となるのです。ジョナサンは普通の群れの中に押し入っていき、自らの「教え」を広めようとします。これは押しつけではないの?
確かに、無知蒙昧なカモメにそういう世界があることを教えているとも見えます。しかし、彼がしていることは、革命家のする扇動と同じです。
ジョナサンが気づいた方法以外にも、カモメには自分を高める方法があるかもしれない。そうしたとき、他の方法はどうなるのでしょう。
例えば、地面を走ることで自らを高めたっていけない訳じゃない。そういうカモメもいるかもしれない。そういうほのめかしは一切ない。すると、「この方法でしか、カモメは自己を高められない。」といっているように見える。

序文の関係上、人はカモメを人間に置き換えて考えるでしょう(僕もそうしました)。人間はカモメよりもさらに多様性があります。自分を高めるのに、走っても良い、泳いでも良い、考えても良い。違いは考えずに、ただ「教化せよ」ってのはまずいと思うのだが、どうだろうか?こうした事を考えずにはいられなくなったので、どうも、最終章は好きになれません。
とはいえ、part one, part twoはジョナサンが助けを借りながら、自分を高めるという章ですから、読んでいて、共感するところもあるし、良い作品だと思えます。


まぁ、短い作品なので、読んでみてください。写真も入っていて、なかなかきれいに仕上がっているので、手軽に読めると思います。ただ、その写真のために短い≠安いという事になってますが。
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by nino84 | 2005-09-05 10:38 | 読書メモ