本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『川の深さは』

『川の深さは』(福井晴敏、講談社文庫)を読みました。

先日『亡国のイージス』を読みかえしたら、本書もなんとなく読みかえしたくなりました。3部作の第1作目ではあるのですが、実際に出版されたのは、『亡国のイージス』が出版された後のことです。そのあたりの事情はここで書くべき話ではないので割愛しますが、続きモノで新人賞(?)に応募するってのはどうなんでしょうね。

さて、本書は冒頭のシーンからして、かなりの問題作である。某仏教系教団の起こした事件を思わせる、宗教団体の地下鉄爆破テロ。それを様々な主導権争いの結果うまれた事件であるとしたのである。もちろん現実ではない。現実ではないが、現実に類似した事件があれば、それと対応させて読んでしまうのが僕で、だからこそ現実味も生まれてくる。…のだが、現実の裁判が未だ終わりもせず、精神鑑定うんぬんとやっている現在では、その現実味も怪しいモノではある。
日本が抱える牙を持ちながら、それを使うことができない現実。あるいはその使い方を知らない現実。それを訴えてもいるのかもしれないが、映画的にアクションを楽しんだらそれで良いのではないかとも思えてしまう。

それから、おじさんの活躍は、個人的には福井さんの作品ではほぼ当たり前の感があるのだが、この作品に出てくる人物はみんなそろって格好が良すぎる。割り切れすぎているというか、決断が早いというか、芝居クサイというか…上手く表現できないが、『亡国のイージス』のような巧さはないように思う。
おじさんのもとに転がり込んできた工作員が「命なんて軽いもんさ……特におれのは」、「任務、完了」というセリフを言えば、僕としても想像できるキャラクターが限定されてしまうわけで、そのあたりも関係しているのかもしれない。
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by nino84 | 2006-03-06 13:46 | 読書メモ