本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『戦国自衛隊1549』

『戦国自衛隊1549』(福井晴敏、角川書店)を読みました。

性懲りもなくまた福井作品です。『終戦のローレライ』以上に映画の原作本という性格が強いのか、彼の作品でも短いものになっていると思います。
ただ短いから読みやすいというものでもなく、装丁が妙なので物理的に読みにくい本になってるのはいただけない。挿絵を入れるにしても文字にかぶせるように入れないで欲しいところです。本は本であって文を読むものなのだから、その一線は越えて欲しくはありません。
さて、内容とは全く関係ない部分の批判が先行しましたが、内容としては福井作品らしく仕上がっていると思います。

とりあえず導入部を書いてみましょう。
1999年、富士山麓での極秘実験中の自衛隊の部隊が丸ごと消え去った。
そして2年の後、富士山頂付近や歴史的建造物に”ホール”という黒い靄が現れた。その靄は日に日に拡大していった…。2年前の実験の発案者はこの原因を「過去からの攻撃」と言い、歴史の歪みが靄を生み出していると断じた。それを受け、歴史の歪みを正すために2年前と同様の現象を人為的に起こし、今一度過去へと跳ぶ計画が立てられた。かくして計画は実行され…

『戦国自衛隊』(半村良)を下に敷いているとはいえ、まったく異なった物語が展開されていきます。映画の原作ということで最後は気持ちよく終わりたかったのか、かなり良心的な終わり方になっていると思います。どちらが好きかと言われると、半村さんの方がよけいな要素がそぎ取られているため好きなのですが、どうでしょう。
ただ、本作では半村版の時よりも自衛隊の装備が格段に良くなっているわけですから、そのあたりの整合性を高めるために現代人対現代人という構図にならざるを得なかった部分はあるのだろうと推測するのですが。


ところで「福井作品らしい」と上で書きましたが、この人はこの手の作品しか書けないのでしょうか。それとも要求に応えた結果、このような作品ばかりが世に出ているのでしょうか。
そろそろノリの異なった作品も書いて欲しいと思うようになったのは、読者のわがままでしょうか。実際、彼はすばらしい冒険小説の書き手の一人だとは思うのです。それで良いともいえるのです。
ただ、僕は作家には変化をして欲しい。太宰や芥川のように負の方向にでも良い。あるいは、ジャンルは違うが宮崎駿の『もののけ姫』以後のように(個人的には)正の方向にでも良い。変化が欲しい。

僕が他の作家の本を読めば済む話なのですが、なんとなく。
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by nino84 | 2006-03-21 23:45 | 読書メモ