本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『死ぬ瞬間 死とその過程について』

『死ぬ瞬間 死とその過程について』(E・キューブラーロス、鈴木晶訳、中公文庫)を読みました。

アメリカの精神科医の書いたノンフィクションで、末期患者との面接の記録から患者が死に至るまでの心の動きをまとめた本である。
死とその過程には様々な態度があるものの、おおよそ次のような段階(防衛メカニズム)を経るとしている。すなわち、致命疾患の自覚をした時点で「衝撃」を感じ、そんなことはないと「否認」を始める。そのうちになぜ私なのか、という周りの人や神に対する「怒り」にかわり、避けられない結果を先に延ばすために周りの人、あるいは神と「取り引き」をはじめ、さらに症状がひどくなり、身体症状などがでてくにつれて、患者は「抑鬱」を感じ始める。、最終的にこれらの感情が欠落していき「受容」という段階を迎える。
ちなみに、「否認」の段階を越えた辺りからも、患者は明日特効薬ができるかもしれないとうい「希望」を捨てることはない、ともしている。
もちろんこうした諸段階には個人差があり、自分自身のみで到達する場合もあるが、(医師などをふくめた)周りの人の援助がなくては乗り越えられなかったりする。さらに段階は「怒り」から「否認」に一時的にもどるなど、段階がもどることもありうる。

さらに、終末医療で良く挙げられる、告知すべきか否か、また告知するなら誰に、どのようにして告知するのかという問題も当然扱われている。これは全編を通して話題に挙げられているが、末期患者との面接ではほとんどが告知されて良かった(状況を考えてほしかった、という意見はあったものの)としている。もちろん、これに拠って必ず告知をすべきという結論は得られるものではないが、告知に関してのひとつの考え方を提示してくれている。

また、患者に関わる家族、友人、医者、看護婦などについても書かれており、どのように患者と関わっていけるか、ということを提案している。


本書は段階毎に具体的な患者の面接記録を含んでおり、具体例に富んだ本になっている。それに対する著者のコメントも載っており、精神科医がどのように患者の言葉を理解しているのかを知ることができる良書であると思う。
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by nino84 | 2006-05-11 23:35 | 読書メモ