本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『きみにしか聞こえない CALLING YOU』

『きみにしか聞こえない CALLING YOU』(乙一、角川スニーカー文庫)を読みました。

今月は素敵にゲド戦記月間だったのですが、シリーズを読み終えたので、少し軽い本を読もうかなと思い、乙一です。集英社文庫でなく、角川スニーカー文庫の乙一ですので、感動系の短編集です。収録作品は「CALLING YOU」、「傷 ―KIZ/KIDS―」、「華歌」(収録順)の3作となっています。

「CALLING YOU」
リョウは携帯電話をもっていない。だって友達がいないのだ。友達がいないのに、携帯電話を持つ意味があるだろうか。それでも彼女は自分の携帯電話を想像する。白くて、なめらかなのだ。そんな想像をして過ごすようになると、まるでその携帯電話を本当に持っているように思えてくる。
そんなことを思っていたある日、頭の中の携帯電話から着信音が響いた…。

世の中に同じように苦しんでいる人はいる。そんな人同士がつながることができたら、どんなにか良いだろう。ヒトは人間にならないと生きていけない、とは誰の言葉だったろうか。社会の中では人と繋がりがなければ生きられない。人の間にいる自分を見つけられないのは苦しい。人との繋がりがなければ、インプットができてもアウトプットができない、それは苦しい。入れた分だけ出さないと、いつかパンクしてしまう。
人の間にいられないの。言葉が真実を語っていない、それは仕方のないことだ。苦しいけれど、人の間というのはそういうものなのだと思う。だれだって利己的。それを汚いと言うだろうか?結局僕らは人間であり、ヒトである。ヒトであることをやめることができれば、競争することもなくなって、人間として良い生活ができるのだろうか?

はなしが逸れてきましたね。共感と孤独の間をさまようのは良い。それが人間を理解することになる。孤独を強く感じて、孤立してるのは、他人のせいかもしれないけれど、それでも僕たちは働きかけていこう。そうすれば、きっと繋がりは見えてくる。

「傷 ―KIZ/KIDS―」
オレの親父は母さんとオレに暴力をふるっていた。そんな親父が入院して家にいなくなって、幸せになれるかと思ったら、母さんはどっかにってしまった。伯父夫婦に引き取られたけど、オレは荒れた。それで結局暴力が原因で特殊学級に入れられてしまった。特殊学級では、それなりに過ごせた。みんな敵意をもっていない。
学年が変わって四月。ひとりの男の子が特殊学級にやってきた。アサトというらしい。その男の子はある秘密の能力を持っていた。

「オレ」は世の中の不幸をすべて背負っていると思っていた。だから、アサトの能力を知ったとき、それをつかって幸せになろうとした。そうなる権利があると思ったからだという。でも全てが不幸だったのだろうか。もちろん家庭が崩壊してしまったのは不幸だし、信頼していたお姉さんに裏切られたのも不幸だったろう。でも、それでも家庭が上手く回っていた時期はあったはずだし、お姉さんは親切にしてくれていた。
幸せっていうのは、いつか不幸にとってかわられると、そっちばかりが目について、ついすべてを悪く考えてしまう。でも、自分が悪くないから、自分が不幸だったからといって、他人を不幸にする権利があるのだろうか?そういう連鎖は悲しい。

…今日は思考がいろいろなところに跳んでいってしまいますね。
ところで、ふと思うのですが、暴力が原因で特殊学級に入れられるようなことってあるのでしょうか。きいたことがないのですが。

「華歌」
私は事故に遭い、恋人を失った。今は病院に入院中。怪我は治っていたから、裏庭の森を歩いていると、ふと歌が聞こえた。どうやらそれは見たこともない花から聞こえてくるらしい。

母の愛というのは素晴らしいね。という作品のように思う。…のですが、すいません。正直、よく分からなかった。叙述トリックは別にいい。ただ絵は反則だろう、と思った。
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by nino84 | 2006-06-22 20:26 | 読書メモ