本の感想などをつらつらと。


by nino84
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「赤い部屋」

「赤い部屋」(江戸川乱歩、『江戸川乱歩傑作選』新潮文庫収録)を読みました。

7人の男が「赤い部屋」にいた。今夜の話し手は、その中の一人、T氏であった。
世の中のすべてに退屈したT氏は、ある方法で自分がなんら罰を受けることなく、人を殺す方法を思い立つ。彼は今日までに99人を殺しており、100人目は自分を殺すと言うが…


完全犯罪といっても、ある特定の場面において、こちらの働きかけに対して、たまたま相手がある行動をしなければならないというかなり限られた状況のものです。ただ人を殺すことを目的としており、なんともえげつない感じです。
…が、最後は上手くスカされて終わってました。

禁止されているからこそ、あえてそれをやることが快楽となり、喜びを見いだしうる。もっとも強く規制されているものに関しては、規制が強く働くことが多い。
法律に反するのは相当の意志の強さを必要とするが、社会的規範はどうだろうか。これは法律に比べれば簡単に反しうる。まずはそこから反逆する。しかし、それになれてしまうと、その反訳の行為がエスカレートしていく。軽犯罪を犯し、次々と規模を大きくしていき、最終的にたどり着くのが、殺人。
では、それにさえ飽きたら?
つまらない世界から逃れるため、また最も規範をはずれた行為として、自分を殺すだけだろう。

ただ、作品の最後に上手くスカされたように、規範に反する以外にも楽しみはありうるはずで、それを見つける努力をしなくてはいけない。規範に反し続けると、ふと正気になったときに、なんともいえない虚しさを感じることになるように思う。
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by nino84 | 2006-08-23 18:36 | 読書メモ