本の感想などをつらつらと。


by nino84
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「乗月」

「乗月」(小野不由美、『華胥の幽夢 十二国記』講談社X文庫収録)を読みました。

芳国の王は自らの正義を追い求め、どんな些細な罪も許さなかった。そのため、多くの民が裁かれ、処刑され、国は荒れた。国の惨状を見かねた州候の一人、月渓は民を守るために蜂起し、峯王を討った。
それから4年、政は一段落したため、月渓は国政から身を引こうと考えていた。そんなとき、月渓のもとに、慶国から景王の親書を携えた遣いがやってくる。国の代表を辞すると決意した月渓はその親書の受け取りを拒否するのだが…



王は麒麟が選ぶ。麒麟に選ばれるのは、その能力を天に認められた人物であって、だから王としてやっていけるだけの能力を持っているはずなのである。王は仙籍に入り、老いない。したがって、十二国のなかには500年を越える大王朝を築くものもいる。
一方で、短命におわる王朝もある。王ひとりで国を運営しているのではない。また、王は能力を認められたからといって、間違わないわけではない。だから、王が討たれることもある。

政は難しい、と思う。人が人を治めるのだから、間違いもするし、政だけに集中することもできない。一人で治めるのではないから、意志が全体に伝わらなければ、上手くいかない。政の部分で失敗を犯したからといって、その人物全部が間違っているのではない。完全な悪なら、討つのは容易い。しかし、天に選ばれた王なのだから、現実はそうではない。
月渓は討つ決意をするのに、時間を要したし、討ってからも王に言い訳をしたかった。それは王が完全な悪ではなかったからだ。

なにか感想ではなく、本文のまとめなおしのようになってしまった気がします。

そういえば、この作品も長編とのリンクがあるので、先に長編を読むと理解が進む部分もあるのかなと思います。ただ、この作品について言えば、読んでいなければ月渓の立場に立った形で情報の補完がされるので、月渓を主人公とするこの作品への感情移入はしやすくなるのかな、とも思います。
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by nino84 | 2006-09-16 22:01 | 読書メモ