本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『黄昏の岸 暁の天 十二国記』

『黄昏の岸 暁の天 十二国記』(小野不由美、講談社X文庫)を読みました。

慶国に景王が立って2年と少し、国は少しずつ活気を取り戻しつつあるものの、未だ民は苦しい生活を強いられている。その慶国の宮殿金波宮に北方、戴国より一騎の騎獣が舞い降りる。
その騎上の将軍は深い傷を負いながら、景王に訴える。泰王、泰麒双方の行方がしれないのだと…。



時系列的には最も新しい作品ということになると思います。とりあえず、参考図書として『魔性の子』(小野不由美、新潮文庫)をおすすめしておきます。本作のAnother sideという感じになっているはず。


さて、景王は2つの世界を知っているから、僕らの住む世界の良い点を十二国に持込もうと考える。僕らの住む世界は、国家間の利権が複雑に絡み合いながらも、国家間で連携し、援助する仕組みがある。しかし、十二国ではそれがない。もちろん、一対一の国交は結ぶが、それ以上の国家が絡んだ機構はない。それで、貧困を訴える国が増えるとそのしわ寄せが大国一国に集まるということがあるようだ。それでは、いずれ共倒れしかねない。

十二国は封建時代のような仕組みをもった国であるから、すべてがその時代でとまっているようなものである。それで上手くいっている部分があるのだが、僕らの住む世界はそこをこえた時代であるから、良かれ悪かれ変わっている部分がある。制度というのは、突然大きく変わることは少ないし、革命などで変わるときには、極端に変わってしまい、回顧が許されないことも多いから、どこをどう比べるべきかを見失いがちである。
しかし、ファンタジーでなら―もちろん創作だから、世界の理想を書き付けることはできようが―比べることができよう。

今作では、十二国での陽子の提案が僕らの住む世界での良い点を映し出していると言える。一方で、泰麒の受ける処遇は、僕らの住む世界の暗い部分を映し出していると言える。
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by nino84 | 2006-09-24 21:53 | 読書メモ