本の感想などをつらつらと。


by nino84
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「河原のアパラ」

「河原のアパラ」(町田康、『くっすん大黒』文春文庫収録)を読みました。

バイト先のむかつく女、はま子。やつはなぜかバイト先のうどん屋に猿をつれてきやがる。それが暴れ出したんで、ちょっと懲らしめようと思ったら、うどんをゆでる釜に落ちて死んでしまった。
はま子は逆上してどうにもならないから、同僚に任せて早引けしたんだけれど、どうもはま子の行動が怪しい…さてどうしたものか。



どうも町田さんの作品はキャラクタに独特の力がありますね。「くっすん大黒」と今作と2作しか読んでいませんが、そう感じます。方言の力も多少手伝っているような気もしますが、それだけではなく思い切りの良さとか、そういう部分がある。しかし、キャラクタの部分はそうだとしても、この作品はなんだろう。「くっすん大黒」もいい加減よく分からない作品ではあったのだけれど、この作品も同じような印象を受ける。

自分は自分なりに精一杯やっている。それでも周りがその努力を無駄にしてしまう。ちなみに、ここでいう周りとははま子であったり、行列を作るときにフォーク並びをしない大衆だったりする。結局そういう人たちによって、彼は一度社会からはじき出されてしまうことになる。

それでも生活するためにはお金がほしいから、働かなきゃいけない。そのバイトでもなにやら人に騙されたりとあまり良いことはない。でも、何とか仕事をやりおえたらそれなりに感謝された。で、お金も入った。
ふと新聞をみると、むかつくはま子の記事。因果応報。これからどうなるか分からないけれど、とりあえず、はま子自身は片づいてくれた。となりには頼りになる友人がいる。なんとかなるんじゃないかと思わせてくれる。先は分からないけれど、とりあえず今は幸せを感じられる。

完全に今を生きる人ですね、彼は。でもそれが必ずしも悪いわけではない。むしろ、未来志向で生きている方が、色々考えすぎて病んでいるのかもしれない。一瞬一瞬をしっかり生きる力を感じられる作品ではないだろうか。
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by nino84 | 2006-10-02 23:22 | 読書メモ