本の感想などをつらつらと。


by nino84
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「阿修羅ガール」

「阿修羅ガール」(舞城王太郎、『阿修羅ガール』新潮文庫収録)を読みました。

それにしても最近はおかしなことが多い。グルグル魔神にアルマゲドン、そして同級生の佐野の誘拐。でも、そんなことはお構いなしに、アイコは恋に悩む…。


清涼院流水を読んでから、読まず嫌いになっていたメフィスト賞作家。その一連の作家に再び挑戦しようとさせてくれたのが、この舞城という人だった。受賞作『煙か土か食い物』。ものすごく勢いはあったが、バカミスだった。とても清涼院の臭いがした。でも、他の作家の雰囲気を感じての読まず嫌いは良くない。もう一作、読んでみよう。で、『阿修羅ガール』。

『煙か土か…』で主人公が無茶やっていたのは無茶であろうと思ったが、『阿修羅ガール』での主人公での無茶は許せる。たぶん年齢段階の問題だろう。青年期の女の子が悩んでる感じがでている…様な気がする。実際には、人の考えていることなんて本当には分かるわけないのだから、女の子がみんなこんな風だとは思えない。ただ、自分もこんなバカみたいなことをバカみたいに悩んでいた、と思うだけだ。なんとなく一般化できそうなら、それでみんな感じてるんだ、と思うだけである。
さすがに、世間の何を差し置いても恋だ、ということはなかったが、でもそれもありそうだと思う。今の女子高生の持つエネルギーがそこにある。そう思えるだけの文体だし、展開だ。


それにしても、おなじ少女文学として―我ながら安易だとは思うのだが―太宰治の『女生徒』との比較をしたくなる。太宰はしとやかな中にもかわいい女生徒を描いた。舞城は行動力ある、活発な女子高生を描いた。どちらの作品も、時代を反映した作品になっていると思う。太宰が同級生と寝てる女生徒を書いている姿は想像し得ないし、舞城がしっかり家事をしている女生徒を書いている姿も想像し得ない。世代の変化を感じずにはいられない。
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by nino84 | 2006-10-06 22:22 | 読書メモ