本の感想などをつらつらと。


by nino84
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「農協月へ行く」

「農協月へ行く」(筒井康隆、『日本以外全部沈没 パニック短篇集』角川文庫収録)を読みました。

農家である金造一家は、世界一周旅行をした近所の農家に対抗して、月への旅行を決める。
一方、月への観光用宇宙船の船長である浜口は、月への観光旅行客のあまりの危機感のなさに苛立っていた。そんな折りに金造一家がやってきて…



どこぞのIT社長が宇宙への観光旅行うんぬんといっていたようですが、どうなったんでしょうね。

さて、この作品はお金を積めば誰でも宇宙旅行ができる時代のお話です。
消費者というのは、与えられたものは、なんでも安全なんだと思っている部分があって、だからなにをしても大丈夫だと思ってしまうことが多い。電子レンジで猫を乾かそうとしてみたり、だってしてしまうのだから消費者というのは予想以上に無知なのである。
宇宙旅行が商品として成り立つということは、安全が確保されているからやっているのだというのがある。実際には、諸注意があってそれなりの枠の中でしか楽しめないのだが、それは提供側の都合だから、サービスを受ける側にはサービスをするのが当たり前だから、という考え方からそれを忘れがちになる。
結局、「無知の知」を目指せ、ということだったりするのだが、分からないことを分かるというのは、実感がないぶん、難しいことを分からないと思うよりも、難しいのだろう。

無知だから、何が怖いか分からず、恐れがない。ある意味で幸せなのだろうが、何かが起きてからでは遅いのだから、結局それは罪なのだ。古い言い方だが、知らないで済ますことができるのなら、警察などいらない。
確かに、上手くいけばそれはそれで良いのかもしれないが…これはこの作品を終わりまで読んで考えて下さい。
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by nino84 | 2006-10-24 22:02 | 読書メモ