本の感想などをつらつらと。


by nino84
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「アフリカの爆弾」

「アフリカの爆弾」(筒井康隆、『日本以外全部沈没 パニック短篇集』角川文庫収録)を読みました。

ここはアフリカの土人の村。観光で収入を得ているため、表向きは非近代的な生活をしているが実際はそんなことはない。
今日は、隣の村がミサイルを買ったというので、この村も買おうと、国連軍の基地を訪ねた…。



アフリカを植民地化して、西洋の文化を流入させたのだから、当然現地の人々の生活も近代化されていく。生活が近代化するということは、なにかとお金が必要になる。そうなれば、なんとかして外貨を稼がなくてはいけない。それには、近代化された考え方が必要になってくる。
どのように儲けるか。やるとなれば、プランテーションで使われるしかないのか…?そこで観光用に見せ物の生活をしようとかんがえる。近代化されてしまった生活には、儀式など不要なのだが、それが外貨獲得のためになるから、やる。
そうして獲得した外貨は、村の近代化のために使われる。個々でいう近代化とは、生活水準を上げていくことなのだろうが、周りの村々がすべて近代化していけば当然、防衛する必要が出てくる。それがミサイルという形であらわれる。互いに持つことで抑止力になる。
なんか、悲しい。

しかも、外貨獲得の手段は観光しかないのだから、ミサイルを持つ一方で、それを伝統的な生活の中で何らかの意味づけをしなければいけない。攻撃のためのミサイルは、伝統的な生活の中に入らないからだ。しかし、伝統的な生活の儀式の中でそれを位置づけようとすれば、結局儀式自体の様式がずれていく。
それでも、観光客はやってくるのだし、なんともいえない。観光客は本質が見えていないし、また原住民さえも本質を失いつつある。それが今の世界か。
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by nino84 | 2006-10-26 21:50 | 読書メモ