本の感想などをつらつらと。


by nino84
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「スリー・クォーター失踪事件」

「スリー・クォーター失踪事件」(アーサー・コナン・ドイル、大久保康雄訳、『シャーロック・ホームズの復活』ハヤカワ・ミステリ文庫収録)を読みました。

ケンブリッジ大学のラグビー選手、ゴドフリー・ストーントンが失踪した。彼のもとに手紙が届いたその夜、彼は大学の寮から出て行き、それきり行方が分からないという。
マウント・ジェームズ卿の唯一の相続人ということで、身代金目当てとも考えられたが…?



まったく、えぇ話や。

人は誰しも秘密を抱えているわけで、それが仲間にさえ知られることを良しとしないものさえある。ゴドフリーの身に起こっている事件はその類のもので、それがたまたま大学対抗の試合の日程とかぶってしまったために大きな問題になってしまった。それは不運ではあるのだが、彼にとってはやはり事件のほうが重要であり、何事にも変えがたいものであって、そういうものがあるということは幸運なことだ。
しかし、彼は決して幸福などではなく、どこまでも不幸なのだ。それを明かせないことも不幸なら、それが大きな問題となってしまったことも不幸であった。そして事件そのものも…。

一方で、いろいろかぎまわった挙句に、あの結果ではホームズもさぞ後味が悪かろう。この作品についていえば、ホームズはあくまで脇役に過ぎないように思う。たしかに、終始彼を追って作品は展開するもの、それはゴドフリーの足跡を追う作業であるのだから。


ところで、対抗戦といえば、日本であれば早慶戦のようなものなのだろうか。その勝敗がどの程度世間にインパクトをもっているのか分からないが、わざわざ作品にするあたり、よほどものなのでしょうね。ラグビーも同じように、たしかイギリスが発祥なんですよね。たしかオセアニア諸国とイギリスあたりが強いんだと思っているんですが…。
というように、強さの程度はさておき、イギリスにおいてはきっと大衆に受け入れやすい設定なんでしょうね。そういう広い範囲の読者に対していわゆる「ちょっといい話」を書こうということだったのでしょうか。
大衆受けのいい設定で、大衆受けのいい話をやろう、といことだと思ってみたりしました。

そういえばホームズというのは、当時のヒーローであると認識しているのですが、どの範囲の読者に読まれていたのでしょう。中流階級の娯楽作品?多くの人が死んでるので、あまり当時の女性向けではないように思いますが…。時代認識が甘いのだろうか。
それでもこの作品、どちらかといえば、女性の方に受けがよさそうです。

最近、妙なことが気になるようになってきてしまいます。われながら妙な視点で作品を見始めたな、と。
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by nino84 | 2006-11-28 00:13 | 読書メモ