本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『犬神家の一族』

『犬神家の一族』(横溝正史、角川文庫)を読みました。

信州の有力者、犬神佐兵衛が亡くなった。彼の遺言が醜い相続争いの元になると予期した顧問弁護士の若林が、名探偵と名高い金田一耕介に協力を要請した。
しかし、その具体的な話を聞く前に若林は殺され、それを契機に犬神の者たちが次々と殺されていく…



横溝正史さんによる金田一シリーズの中の一作です。映画がリメイクされたということで話題になっていますね。『本陣殺人事件』から読むのが正当なのでしょうが、話題になっているものに飛びついてしまいました。

さて、本作ですがなにかと有名なだけにどこかで読んだことのあるようなトリックが使われていました。これについては、読む前の段階―映画の宣伝で佐清を見た段階―でネタになりそうな姿見だったので使われるだろうな、という予測はありました。
ただ、どこかで読んだことがあるということはそれだけ、この作品がミステリの古典となっているということでしょう。そうしたことからもこの作品のもつ魅力がわかるというものです。


個人的には物語の進む速さと僕自身の処理能力の程度が丁度よくマッチしてずいぶん読み易い作品だったと思います。やはりミステリはある程度ゆっくり展開してくれると、頭の中で自体の整理ができるので、読み易いと感じます。『マルデゥック・ヴェロシティ』のようなスピード重視の作品はミステリ要素が入っていてもそれの要素は頭に定着しずらく、ミステリの要素が薄まっていってしまうように思います。もちろん作品ごとに狙いはあると思いますので、それぞれ適切な展開の速度になっていればいいと思いますが。
ミステリとしては本作くらいが丁度いいのではないかと思いました。


読んでみて思ったのですが、映像としてのインパクトはありますね、やはり。佐清や、湖から飛び出した下半身のインパクトは大きいのだろうと想像に難くありません。それに加えて、叙述トリックなしのシンプルなミステリですから、まさに映画にするにはぴったりなのでしょう。最近のミステリは叙述トリックが多くて、映像にした瞬間にネタバレということもおおいようにも思いますしね。
そんななかで、全編叙述トリックの『ハサミ男』(殊能将之)が映像化されているようなのですが、出来はどうなのでしょうか。どうやって展開したのかというアイデア勝負な部分を見てみたいですね。『犬神家一族』とは違った楽しみ方をする作品になっているのでしょうか。

文章を書いていたら、『犬神家の一族』も『ハサミ男』も観たくなりました…。
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by nino84 | 2007-01-21 22:01 | 読書メモ