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本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『絵のない絵本』

『絵のない絵本』(アンデルセン、大畑末吉訳、岩波文庫)を読みました。

ある晩、まずしい絵かきの若者のもとに月がやってきました。月は毎晩すこしの間しか絵かきのもとにはいられませんでしたが、その間にこれまで自分の見てきたものを語ってやりました。


本書は月が語った32の物語を絵かきが語る、という形をとっています。月は少しの間しかひとところにいられないため、その物語は非常に短いものですが、それでも一篇一篇が人のある一面をしっかりと描写しています。
ヨーロッパ、アジア、アフリカの片隅で、生きる人々。こうした世界中の人々の生活の一瞬を切り取り、時に人の人生のやさしさ、楽しさ、そして時にその無残さをも描いていきます。一つ一つの物語は非常に短く、そのため人のある一面しか描くことはできないのですが、それが32つながることによって、全体として人を多面的に描きだしています。

また、文章は絵かきによる語りという体裁をとっていますから、非常に読みやすいものになっていると思います。
by nino84 | 2007-10-06 08:48 | 読書メモ