本の感想などをつらつらと。


by nino84
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「世界の終わりという名の雑貨店」

「世界の終わりという名の雑貨店」(嶽本野ばら、『ミシン』小学館収録)を読みました。

ライター業が嫌になり、廃業した僕は借りていた事務所のオーナーの提案で「世界の終わり」という名の雑貨店をはじめる。営業を始めてしばらくすると全身をVivienne Westwoodで固めた女の子が毎日のように訪れるようになる。
しかし、事情によって雑貨店を畳まなければならなくなり…。



という訳で、嶽本野ばらさんに初挑戦です。

本作は”僕”の一人称で語られる作品であり、自分の身に起こったことでありながら静かにそして淡々と語っていく、そんな文体が印象的な作品です。
どこか浮世離れしている”僕”はライター業を廃業するときも、雑貨屋をはじめるときも、そしてそれを畳むときもただ淡々とそれを受け入れていきます。現実社会とは一線を引いて生活を送っていたのです。ただ毎日お店を訪れてくれる女の子については少し違う反応をします。彼は店を畳むに際し、彼女と会えなくなることから、彼女と逃避行しようと思い立つのです。
しかし、それでもやはり文体は淡々とした印象をうけます。語り口調ですから、”僕”の興奮はそのまま地の文に表れてきます。確かにそれ以前とは違うのですが、それでもどこか冷めているのです。ただ淡々と語るのです。
過去の事実を淡々と語ることで、現在の”僕”のVivienne Westwoodを着た女の子への想いを作品全体を通して表しているように思えます。淡々と語ることでむしろ”僕”のかなしみが伝わってくるように感じました。


彼のほかの作品をまだ読んでいないので、著作全体としてどうなのか分かりませんが、イメージしていたよりも読みやすいという印象です。作家のイメージが先行してしまうとなんとなくとっつきにくくなりますよね…。
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by nino84 | 2007-10-10 01:44 | 読書メモ