本の感想などをつらつらと。


by nino84
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「101号線の決闘」

「101号線の決闘」(ハーラン・エリスン、伊藤典夫訳、『世界の中心で愛を叫んだけもの』ハヤカワ文庫収録)を読みました。

ジョージは、パートナーをのせてフリーウェイを走行中、赤いマーキュリーに追い抜かれた。彼は即座に決闘を申し込み、それは交通官制局に受理された。果たして2台の車によるフリーウェイ上での決闘が始まった。


「世界の中心で愛を叫んだけもの」とは異なった雰囲気の作品になっています。短編のなかで世界のルールを理解させるのは難しいだろうな、と読みながら考えていました。
車同士による決闘が合法で、それによって死んでもなんら責任は問われない。これを説明口調で説明するのは簡単だけれど、そうではなく物語の進行にあわせて読者に理解させていく、ということは難しいように思いました。

さて、そんなに目新しい点があるような作品ではないと思ったのですが、感想をいくらか。
とりあえず、スピード感は感じるので、アクションものの作品として読む分には非常に楽しめるかな、と思います。作者はテレビのシナリオなども書いているようで、映像としても楽しめそうな作品なのかな、と思いました。

人間のとめられない闘争本能、そういうものを描きたかったのだろうか。
人間には他人に負けたくない、というプライドがあって、それは時に自分の生命をも危険に曝しかねない。しかし、一方で生命を守るという本能もあるから、プライドを守っていく一方で、もうこんな危険は決して冒すまいと神に誓いもする。
この二つの本能は決して相容れない。したがって、一度プライドを守ろうと生命を危険に曝してしまえば、そこから抜け出すのは困難だ。そのプライドは曝された危険の大きさによって増大しする。すなわち、私はこの危機を乗り越えられたのだから、それだけの能力をもっているのだ、として大きくなる。したがって、それ以上の危険を冒さなければプライドは満たされない。無限に続く戦い。
一方で、「プライドを捨てて…」という言葉がある。やはり生命は大事なのだ。だから、その二つの本能だけが影響しあっているのなら、現実ではどこかの時点で折り合いがつくはずなのだ。

しかし、状況がそれを許さなければ?人の地位はある程度の役割を負わせる。地位はプライドを捨ててはいけない、と要求する場合もある。人が社会で生きれば、なにかしらの地位につかざるをえない。したがって、まったく「プライドをすてて…」ということが許されない状況は確実に生まれうる。
地位が捨てられるものなら、まだいいのかもしれない。しかし、捨てられない地位だってある。そうなれば…。
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by nino84 | 2008-02-02 16:43 | 読書メモ