本の感想などをつらつらと。


by nino84
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「眠れ、安らかに」

「眠れ、安らかに」(ハーラン・エリスン、浅倉久志訳、『世界の中心で愛を叫んだけもの』ハヤカワ文庫収録)を読みました。

サーガッソー海の底深く、そこに座すは<睡眠者(ザ・スリーパー)>。彼が守ってきたありあまるほどの平和、600年。その平和を壊さんとするもの、アボット。そして、おたがいの明日を待ち受けるリーフとロレイン。世界の平和は…。


平和。紛れもない平和。争いのない世界。少しでも争うことを考えれば、<睡眠者>が介入し、それをなかったこととする。
しかし、人の発展は争いなくしてありえなかったという考え方もある。極限の争いの中でこそ、生み出されるものがあるのだろう。たとえば、コンピューター―軌道計算のために―。それが平時の生活に役に立っていることは否定できない。
そのために、この世界に戦争の復活を。

結局、何度も語られているような内容のように感じてしまうのは、やはりこの作品が古い(1968年作)からだろうか…。


現在、日本では表向き戦争のための開発は禁じられているし、転用できるものの輸出も制限されている。自衛隊の航空機を国産でという話もあるから、客観的にみるとかなり微妙な部分であるように思うが、こと日本に関しては、戦争がなければどうこう、ということはすでにないように思う。
日本で多く製作されている2足歩行ロボットを海外で出展した際、「これはどのように軍事利用するのですか?」という質問が飛ぶ、ということを聞いたことがある。日本人ってそういうことに、あまりこだわっていないように思う。アニメを観て、あこがれて作ってしまう、というオタク根性というか、こだわりが強いというか、そういう部分があるように思います。もとのアニメが戦争モノだ、と言われてしまえば実も蓋もないのかもしれませんが、戦争がなくても、なにかしらの発展はしていくだろう、とは信じられる。


急速な発展が必要だというのではなく、持続できる発展が必要であるという考え方がある。
発展は急速でなければならない理由は、人々が圧倒的な利便性を求めているからだ。もちろん、便利になればなるだけいい。しかし、それで地球がつぶれてしまっては意味がない。そのために、持続できる発展である。地球をつぶさないように、環境との折り合いをつけながら、それでも少しずつ便利にしていく。それは戦争をしていては決して達成しえない。戦争は地球のことなどほとんど考慮することはない。考慮されるなら、ABC兵器が使われることはなかったろう。
それこそ、持続できる発展という言われ方がされるようになったのは、最近のことであるが、地球の限界を知ってしまった以上、地球を壊すことはできず、したがって人はそれを選択するしかないだろう。

現代は発展と環境、それを同時に考えなければならなくなっている。したがって、発展のみをもとめて戦争を肯定するのはおかしな話だ。
環境にやさしい戦争ができれば話はちがうのかもしれない。しかし、始まってしまえばタガなど容易にはずれうる。そもそも、リミットセッティングされたなかで、極限の発展などできるはずもないだろう。
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by nino84 | 2008-02-04 23:59 | 読書メモ