本の感想などをつらつらと。


by nino84
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

「ガラスの小鬼が砕けるように」

「ガラスの小鬼が砕けるように」(ハーラン・エリスン、伊藤典夫訳、『世界の中心で愛を叫んだけもの』ハヤカワ文庫収録)を読みました。

ルーディは8ヶ月の後にようやく彼女を見つけ出した。彼女がみんなといっしょにいた屋敷は、強いマリファナの臭いがする、不気味なところだった。
それでも彼は彼女らとの生活を始め、そして次第に蝕まれていき…。



さて、物語は共同生活するヒッピーのもとを訪れた主人公の視点で進められます。
ルーディの彼女は友人に連れられ、11人での共同生活を営んでいました。彼は彼女を追ってそこをたずね、その結果としてそこを出ることを嫌がる彼女を連れ戻すために共同生活に参加することになります。

ヒッピーについて十分な知識があるわけではないですが、個人的には既存の社会の閉塞感から逃れたかった人たち、ということだと認識しています。その閉塞感からの逃避、あるいは破壊の方法として薬を用いる場合もあったようです。
当初、共同生活でルーディは12人の中でただ一人、中毒者ではなかった。しかし、彼が愛した女性はすでに中毒者で、そこから逃れられそうにはない。また、のこりの共同生活者も薬の使用になんらためらいはない。そんな場にいて、日々マリファナの臭いのする場所にいて、彼が耐えられるだろうか。依存性があり、屋敷のなかの社会規範では使用が決して制限されないもの、それから逃れられるだろうか。

こうして薬が一人の人を壊していく。こうして現実か、幻覚かわからない世界に生きることになる。
待っていたのは価値観の崩壊。人格の崩壊。関係の崩壊。すべての崩壊。
[PR]
by nino84 | 2008-02-19 12:03 | 読書メモ