本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集』

『汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集』(中原中也、集英社文庫)を読みました。


30歳という若さで亡くなった中原中也の詩集は『山羊の歌』、『在りし日の歌』の2冊のみである。この詩集は2冊から、また未刊詩篇からいくらかの作品を収録している。中也の詩の全体像を覗きみる一冊となっていよう。


詩集なので、さわりも何もないので、ひとことコメントでお茶を濁してみました。詩を読んだのは高校以来のような気がします。積極的に読んだのは間違いなく今回が初めてです。まとまった時間がとれそうになかった時期に購入したので、あいまあいまに読める作品ということで、思わず手にとってしまいました。
明るい作品よりも暗い感じの作品の方が合うかと思い購入したのですが、それなりに楽しめたと思います。風景描写がさらっと、それでいてしっかりと心に残るように表現されているのが、いいな、と。

結局、筋が精緻にあるわけではなく、その一瞬一瞬の心の動きとか、そういうものをいかに書き出すか、というところなのだと思うので、風景が―そのどれもがもの寂しいのだが―なにかを移しているように読めたのは、そういうものなのかな、と。
それにしても、この所在のなさである。寂寥感。こうやって一言であらわしては非常に申し訳ないのだが、なんかそんなものを全体としては感じてしまう。別に田舎暮らしをしたわけではないし、何の思い入れもない風景でありながら、そこに感じるものがあるのは、どこかで同じような経験をしているからなのだろう。それを言葉にし、作品として発表できるだけの敏感さ、あるいは敏活さ、があるということか。
それは詩人には一般に、というものではあるのかもしれないが、中原さんの作品に特に寂しさがただようのは、彼がその感情に敏感であり、それを表すことに長けていたということなのだろう。これが作者の色というものなのかもしれない。

昔、教科書で読んだ荻原朔太郎さんも寂しさがあったが、彼はもう少し冷徹な無機物的なイメージを受けた気がする。「月に吠える」だったか。その点、中原さんはもっと体温を感じるように思う。体温、生暖かさ、そんなものを感じる。血は通っていながらも、なにか違うという感じ。そんな印象でした。



とはいえ、結局のところ、「サーカス」のような感じの言葉にしてリズムのよい作品が自分にはしっくりくるようです。しっくりというのは読みやすいといことです。
いっそ和歌や俳句を読んでいた方が性にあうかもしれないと思ったのですが、読みやすく詠んでありそうなので、そういうものかもしれません。なにせ比較対象がないので、本当に感覚的なものですが。音楽の歌と同じような感じで読める点で、詠みなれているからこそかもしれません。
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by nino84 | 2008-08-03 19:31 | 読書メモ