本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『機動戦士ガンダムUC 5 ラプラスの亡霊』

『機動戦士ガンダムUC 5 ラプラスの亡霊』(福井晴敏、角川書店)を読みました。

ネオ・ジオン残党軍の拠点<パラオ>からの脱出に成功したバナージ。《ユニコーン》を奪還し、<ルナツー>への帰路についた。しかし、その矢先、《ネェル・アーガマ》に新たな任務が与えられる。
その目的地は先の戦いで《ユニコーン》が示した座標。その場所へ行き、『ラプラスの箱』へと迫ること。その座標はかつての首相官邸<ラプラス>の跡であった。



なにかから逃れるように本を読むなんて…。よくあることなのですが。現実逃避したいのです。課題…。

さて、本作は『機動戦士ガンダムUC』の第五巻にあたる作品です。もう5巻です。終わりが未だにさっぱり見えませんが、何巻続くのでしょうね。ともあれMS戦が次第に一方的でなくなってきており、戦っている感じが出てきたので、その点でおもしろくなってきました。
今回は大気圏ギリギリでの戦いが繰り広げられます。1stでいうところの「犬死にではないぞ」ってやつです。別に大気圏突入が目的ではないので状況が少し異なりますが、伝統なんでしょうね。Zでもカクリコンがお亡くなりになりましたし。
前回覚醒したニュータイプ・デストロイヤー・システムの性能が異常なので、どうやって扱うのかと思いましたが、「強すぎる力」の恐ろしさを知ったバナージが飲み込まれることに抵抗を示したので、戦力としてバランスのとれた戦いが展開されていました。もちろん、ストーリー的に意味のあることでもあるのですが、おもしろい戦闘シーンを作るという意味でもいい働きをしていたと思います。

戦闘シーンの話はこれくらいにして、ストーリーのお話をしましょうか。先ほどいった「強すぎる力」に対する恐れ、というのがこの巻では全面にでていたかと思います。
<パラオ>での《クシャトリア》との攻防で、パイロット同士が共感―感応?―しあいながらも、システムに飲み込まれ、マリーダを傷つけたバナージ。敵とみていたものにも生活があり、正義がある事実。それを知り、バナージは迷うのです。
そうした迷いの中でも、状況は待ってくれず、バナージは組織の理論で動かされる。それを血も涙もない理論だと感じるからこそ、彼は抵抗するのだが、そのなかで彼は組織の理論を動かしている大人たちもその理論に飲み込まれているだけであること、彼らにも生活があり、様々な葛藤を抱えていることを知る。
そして、それを知った上で、バナージはまた迷う。両立し得ないことがあることを知ってしまったから。それでも彼は一つの決断をくだすのです。心は「自分で自分を決められるたったひとつの部品だから」、自分の心に従う。それはとても難しいことで、生きにくい仕方ではあるのでしょうが、彼は割り切ることはできなかったのです。そのために「強すぎる力」を使うことをするのです。
もちろん、そうした力をもっているからできる生き方なのかもしれません。とはいえ、《ユニコーン》一機の力がたとえ強すぎるものであっても、それは局地戦での話です。それで組織が変わる訳ではない。だから、結局そうした矜持をもつことは組織の中にあればとても難しいことです。そうした決定を下したバナージは、だからこそ組織に飲み込まれている大人たちを動かすことができたのでしょう。
今回は、バナージが今後の生き方を決める、そんなお話でした。
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by nino84 | 2008-08-04 15:31 | 読書メモ