本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『精霊の守り人』

『精霊の守り人』(上橋菜穂子、新潮文庫)を読みました。

用心棒を営む女性バルサは、川で溺れていた皇子を助けた。
その晩、お礼をするためと言われ宮へ招かれたバルサは、そこで皇子の母から皇子の身に起こっている不思議な現象を聞かされ、皇子の命を救ってくれと頼まれる。バルサはその依頼を引き受け、皇子を預かるが…。



現実世界でのやっかいごとが一段落ついたので、久しぶりの読書となりました。
本作はNHKでアニメ化もされた作品の原作で、文庫版でなければシリーズも完結しているファンタジー小説のシリーズ第一巻です。文庫では3作出版されいますが、まずは一冊、様子見です。

さて、本作は、近年大量に出版されている西洋文化ベースのファンタジーでなく、東洋文化ベースのファンタジーです。それがまず新鮮で面白かったのですが、ニッチなカテゴリーなだけにそれが読者層を絞ってしまっているように思います。
実際に読んでみると、もともと子どもから大人まで楽しめるように書いたということもあって、かなり読みやすい作品になっているように思いました。


非常に個人的なイメージですが、ファンタジーというジャンルの作品はライトノベルなどに代表されるような娯楽作品に多いのではないかと思っています。舞台を中世や古代をベースにしたい世界に設定できるために、体を使った戦闘あるいは決闘シーンなど盛り上がるシーンを描きやすいというのが、あると思っているのですが…。
ただし、本作はファンタジーだからといって、戦いを重視することはせず、そうした類のシーンは必要最低限にとどめてあるように感じました。それよりも、中心は先住民とそれを制し移住してきた住民の文化の違いであったり、その共生の仕方であったり、そうしたよりマクロな部分の描写が目立ったように思います。
ただの娯楽に終わらない作品、という感じでしょう。

もちろん、主人公バルサたち登場人物には性格やその過去が付与されており、設定以外の部分でも、しっかりと作品として展開しています。
物語は「葛藤を抱えた人がそれを解決する過程を描くもの」ととらえることができると思います。物語は成長物語であって、とすればどのような葛藤を扱うのかがその物語の面白さを決めることになります。この作品では、主人公バルサと皇子チャグムは同じような葛藤を抱えています。そのため、彼ら二人のトランザクションが重要な意味をもち、同時に面白いものとなっていると思います。
なにはともあれ、テーマがしっかりとしている作品というのは、それがどんなテーマであれ、筋の通ったものであればジャンルを問わず、面白いものです。
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by nino84 | 2007-12-22 21:24 | 読書メモ