本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『ダークナイト』

『ダークナイト』を観ました。

市警はバットマンとデント検事の協力のもと、マフィアの資金源を断つことに成功した。時を同じくして、ゴッサムシティ―にジョーカーと名乗るフリークが現れる。彼はマフィアのもとを訪れ、彼らの資金の半分を条件に、バットマンの殺害を約束する。

先回のアカデミー賞で、助演男優賞(ヒース・レジャー)と音響編集賞を受賞した作品です。ヒース・レジャーが死後にノミネート、受賞し、話題になりました。そんな彼の演技ですが、とても迫力がありました。あれはヤバイ。極度の愉快犯として描かれているため、かなりイカレた感じのキャラになっており、その演技は怖い。

作品全体としてとても暗い作品となっており、見事なまでにバッドエンドでした。2時間半ほどにもなる大長編映画ですが、バットマンとジョーカーは互いに殺しあわない(バットマンは法を守るため、ジョーカーは退屈しない遊び相手をなくさないため)ということで、途中どうやって話をたたむのかと思ってしまいました。とりあえず、というところで一段落しましたが…。あの終わり方であれば、ヒースレジャーが亡くならなければ、続編での登場も可能性としてはあったであろうに、と思ってしまいます。

法を守りながら、警察権を違法に執行するバットマン。彼は犯罪者を警察に引き渡しながら、その実、自らも犯罪者であるという自己矛盾を抱えている。それでも、それがゴッサムシティーに必要であると考えるから、全てが終われば、裁かれることを承知で、それを執行します。一方で、ジョーカー。彼にはルールはありません。彼はただ混沌と恐怖をもとめます。
決して交わることのない二人。ジョーカーは自らの目的を達成するためなら何でもします。市民を無差別に殺し、友人とガールフレンドの命を天秤にかけ、病院ごと爆破だってするのです。それは、常にルールが通じない戦いであって、バットマンは常に後手後手にまわってしまいます。結局、バットマンは町じゅうの電波を盗聴するというルール違反の末に彼を捕縛することに成功します。
ただ、そうしたジョーカー捕縛の過程で、彼は彼以外にも混沌の現況を創り出すことに成功します。それがデント検事。マフィアの資金源抹消に尽力した正義の人でした。しかし、ジョーカーに自らのガールフレンドを殺されるにいたり、自らの正義が通じない悪の存在に絶望し、復讐鬼となり、恐怖を振りまくことになります。それは、正義の象徴であったはずの人物でも復讐鬼となるという現実を、バットマンに知らしめるのです。
映画では希望も描かれますが、ジョーカーの存在感がありすぎて、そんなことはとても薄っぺらく感じてしまいます。

とにもかくも、ジョーカーの存在感のために、彼とバットマンとのやりとりは常にクライマックスの様相を呈して、先の展開が全く読めない映画でした。
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by nino84 | 2009-05-08 02:35 | 視聴メモ

『レッドクリフ Part I』

『レッドクリフ Part I』を観ました.

漢の帝を擁する曹操は,劉備,孫権を討たんと兵を南進させる.数に劣る劉備,孫権両陣営は,対曹操の同盟を結び,曹操軍を迎え討たんとする.かくて,赤壁の地にて両陣営が見えることとなった.


また,DVDです.現在,Part IIが絶賛(?)上映中ですが,とりあえず,Part Iを観ていないとお話しにならないので,観てみました.

とりあえず,世界観が三国無双でした.劉備軍の関羽,趙雲,張飛はじめ,孫権軍の周瑜,甘興(甘寧のことかー!?)にいたるまで,なだたる将軍は一騎当千あたりまえのようです.
孔明はもちろん物語の中心人物のひとりであり,その軍略を披露してはいるものの,本編では常に周瑜とセットであり,なんとなく影が薄い存在です.劉備,孫権両軍同盟の橋渡しをするのが孔明であるために,序盤こそ目立ちはするものの,周瑜の登場以降,常に彼と共に軍を仕切ることになります.作品的には,その周瑜が推されているらしく,なんでか一騎当千の活躍,さらには小喬との仲むつまじい姿まで描かれて,完全に主役です.物語ですから,誰かを主役にはしなけりゃ盛り上がりもしないので,それはそれでいいですが,なんとなく違和感.あんたは前線で戦う人だっけか,と.
で,一方,戦うのが本職の趙雲,関羽,張飛はもちろん一騎当千.物語冒頭は長坂の戦い(らしい)だが,そこでの主役はまちがいなく趙雲と関羽.前者は劉備の子,阿斗救出シーンでの大立ち回りは圧巻.一方の関羽は長坂の戦いでただひとり残って(残ってしまった?)徒歩で戦ってたりする.曹操軍の兵たちをなぎ倒しながら曹操の目前まで迫って,結局見逃されるということになったが,結果はともかく,見せ場は作てもらった,という感じでしょうか.

とはいえ,私はそれほど三国志に詳しいわけではないので,話の細部が違ったところで,それほど気づかないところがあって,なので楽しめたのかもしれません.史実に忠実か否かは私では判断付きかねますが,どうだったのでしょうね.
個人的には,戦のシーンは迫力があってとても良かったと思います.
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by nino84 | 2009-05-06 19:26 | 視聴メモ

『おくりびと』

『おくりびと』を観ました。

オーケストラのチェロ奏者として活動していた大悟は、オーケストラの解散とともに、妻を連れて山形の実家へと帰ってきた。そこで偶然であった納棺士という仕事。彼はその仕事の内容を妻に告げられないまま、続けていくのだった。

いわずとしれた、08年度のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品です。とりあえず、評判通り、良かった、とまずいいたい。なにがいいって、雰囲気がいい。つまり、映画全体に流れる空気がいいのです。
テーマとして扱われているのは、大きくは人の死ですから、それを描く空気をいいというのも御幣があるのかもしれないですが、それに対峙する人とその人のかもし出す空気をうまく捉えていると思えました。一見、淡々としていながら、しかし、その背後にある強い芯のようなもの、それがどこからか感じられます。主人公、大悟が勤めることになる納棺会社の社長。そして、火葬場の職員。彼らが普段対峙しているものをどのように捉えるのか。それは言葉にならない雰囲気として映画に写されていると思えました。
個人的には、笹野高史さん演じる男がよかったです。大悟が川を遡上して、そこで散乱し、死を迎えるサケを眺めながら「なんでわざわざこんなことをするのか」とつぶやいたときに、「まぁ、きっと自分の生まれたふるさとに帰りたいんでしょうよ」とさらっと言ってそのまま去っていく。なんということはないふとした一場面だけれど、なんか印象に残っています。さらっといえるところに、この人の芯の強さを感じたのかな。

全体として考えるよりも、まず感じる映画かな、と思います。納棺士の仕事の意味が、「理屈じゃわかってる」っていうのは、そりゃそうで、でもそれに対する意味づけを帰るためにはやっぱりまずその背後にあるものの意味を考えなきゃいけなくなる。それは万人に訪れる死、というものであって、それを考えることは非常に難しいように思えます。
もちろん、それはずっと考えていく必要のあることだけれど、2時間強の映画を観て、それ全体を悟れ、というのは大仰な気がします。別になにかの理屈が語られているわけではないので、別段なにか結論を見つけろ、と押し付けるような映画ではなかったと思います。だから、その一歩目として、まず感じる作品かな、と。死の絶対性、静謐さ。死のもつ意味を少し垣間見せてくれるそんな作品でした。

原作である『納棺夫日記』は3章立てで、日記調の2章に加えて、理論編ともいえる章が合わさって、作品として著されています。後者は宗教でいわれている死の概念を著者の立場から解釈しなおすという作業をしている章です。それは著者の答えではありますが、結局それも読者にとっては別の宗教書と同じ、ヒントにすぎません。そういう意味で、私個人としては、原作本の第3章は不要と考えます。
結局、答えは各々でみつけるしかなく、それは2時間で考えるには壮大すぎます。だからこそ、まず感じる作品だろう、と思えたのです。作品では、主人公、大悟の仕事に対する心境の変化が丁寧に描かれていますし、加えて納棺会社の社長と火夫の男も示唆的に描かれています。終盤、わけもなく泣いてしまっていました。なにに泣いていたのだろう、と思えるものの、理屈ではないんですよね、多分。
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by nino84 | 2009-05-05 00:43 | 視聴メモ