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本の感想などをつらつらと。


by nino84
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『こわれた腕環 ゲド戦記2』

『こわれた腕環 ゲド戦記2』(ル・グウィン、清水真砂子訳、岩波書店)を読んだ。

影の真の名を知り、影との戦いを終えたゲド。彼は影との戦いで各地を転々とするなかで腕環の破片をある人から託されていた。
影との戦いを終え、その後も各地を転々としていたゲドは、ある場所でその腕環のなんたるかを知る。その腕環にはある力があるとされ、長年破片が探されながら、決して完全になることの無かったものであり、その片割れはアチュアンという島の地下迷宮にあるという。
かくしてゲドはその場所へを赴き、その場所である女の子と出会う。彼女は喰らわれし者として名なき者に巫女として仕え、本来の自分の名を失っていた…。


ゲド戦記の2巻です。ゲドは成長し、世間では竜王(竜と話せる者)として認識されるまでになっています。1巻ではゲドの成長が描かれましたが、2巻ではゲドが一人の女の子の成長を助けるという物語が描かれます。

ゲドは彼女の本来の名前で呼びかけ、巫女としての名を捨てることをすすめます。女の子は幼い頃から巫女としての教育しか受けてこず、そのために外の世界へでることに強い抵抗を感じます。こうした自分壊し、自己形成というプロセスを描く辺り、やはりテーマはティーン・エイジ向けなのだと感じます。ただ前回も書きましたがセリフが禅問答気味なので、こうしたことがあった、と思い返すように大人が読み返すことが多くなるように思います。今そういした事態に直面している子どもがこの作品を読んで納得できるかといえば、おそらくそうした作品ではないように感じるのです。
by nino84 | 2006-06-13 01:09 | 読書メモ